最近の看護師の現場では、在院日数の短縮や高齢化の到来で、病院に入院する患者はますます重症化し、専門的知識と技術をそなえた看護師の必要が高まっている。
ターミナル患者の存在は、より人間的な裾野の広い看護職を必要とする。
外来では慢性疾患を持ち自宅療養する患者への療養生活指導を初め、患者本人や彼らを取り巻く家族集団の健康観を育て行動変容につなげるようなアプローチの必要が、潜在的あるいは顕在化して生じている。
ますます拡大している在宅の看護二ーズに目を転じれば、さまざまな社会資源を活用して、在宅療養を可能にするというレベルから、個別的なケアの質を求める時代に入ったといってもよい。
つまり、各家族の歴史を背景につくられたそれぞれの家庭のありようを尊重しつつ、適切な援助を実践する必要である。
これまで、十分に機能していなかった分野であるだけに、看護職が訪問するだけで喜ばれていた時代のニーズレベルにとどまっているべきではないだろう。
そのことへの理解が今もっとも必要である。
こうして、看護職への期待は客観的に今後ますます高まってくることは明らかである。
その人材を育成する責務が、看護教育者に求められていることを忘れてはなるまい。
大学における学部や講座開設の三条件は看護の領域にも通じる。
第一は、独自の研究対象を持ち、無限に追究できる領域でなけれぼならないこと。すなわち高齢社会、高度医療下の看護独自の質の探究。
第二に、そのような知識が大学外で蓄積され、看護固有の領域として出現すること。
第三に看護を学ぶ者と学ばない者との
少子高齢社会に向かう看護教育のあり方を問うあいだに、決定的な差異がなければならず、その差異は大学というアカデミズムの中だけで評価されるのではない。
その意味からも、看護と看護ではないものをはっきり見分ける目を、教師自身が持つ必要がある。