戦後の医療現場と看護師

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今日の異常に発達した高度先端医療の、複雑なメカニズムのなかに組み込まれたメンバーのひとりとして、ナースの役割分担は、たいへんに重要で、欠かせないものであります。

しかし、内実は、どうでありましょうか。

一般の人は、医療現場の現実的な仕組みや、医師と看護師の人間関係が、うまく機能しているかどうかの判断などは、ほとんど見当もつきません。

ひとつ一つの場面では、(特に患者が目の前にいる場合など)それはうまく滑らかに働いているように感じられますが、潜在的な意識の底辺では、階級的な三角形の項点に厳然と医師が存在し、その下部に、看護師が位置づけられている、という構造は、消しがたい現実的な側面として、日本の医療の歴史的な過程のなかで、今日も、なお、微妙に棲息しつづけている固定観念ではないのでしょうか。

戦前の日本の医療は、ご承知のように主としてドイツをお手本にして、その基礎を確立して参りました。

それは、やはり、当時、ドイツ医療が斯界の主流を占め、医学的な理論や、手術や麻酔などの技術的な面でも一歩先行していたからでしょう。

ドイツ医学は、ただ、医師の権威が絶対で、医師以外のすべての医療従事者は、その医師の家来という形でしたから、看護婦はただ医師の指示・命令に従って手足の如く働く「召使」とか「小間使い」のような存在でしかなかったのです。

この慣例はそっくりそのまま日本にも伝来して、かなり長く続き、その上下の関係は、国民性の間に浸透して、すっかり医療界の土壌に根をおろしました。

戦後、すこしつつアメリカ医学に移行して行ったようでありますが、半世紀以上たった今も、なお、古いタイプのドクターのなかには、ほかのことは近代的に民主化した医療社会に順応しているのに、対看護婦との関係では、依然として専制君主的な態度を堅持している方もいるようです。

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