ナイチンゲールといえば、クリミア戦争での活躍がもっぱら有名ですが、ナイチンゲールの真の功績は、戦地から帰国した後の仕事に発揮されました。
ナイチンゲールは、それまでの中世・近世の看護とは一線を画し、看護とは何か、基本的な考え方を明確に打ち出したのです。
たとえば、いまではごく当然と考えられている、「清潔」「栄養」「食事」「換気」などの看護の基本要素。
その必要性を科学的に裏づけ、医療として実践に結びつけたのはナイチンゲールでした。
また、彼女は、病人に対する直接的な看護だけでなく、病院管理から看護師の教育訓練に至るまで、広い範囲にわたって看護に関する理論的考察を重ねました。
その成果は、数多くの著作や活動へと結晶し、医療・看護のレベルを飛躍的に向上させたのです。
こうして、ナイチンゲールによってはじめて、看護に近代科学の視点がもちこまれました。
それまで家庭看護の延長にあった職業看護が、近代的な職業へと脱皮し、専門職として確立することになったのです。
現在、多くの看護学校では、ナイチンゲール誓詞が使われています。
誓詞の文言はアメリカの看護学者によって起草されたものですが、看護の真髄を示したものであることに変わりはありません。
彼女の果たした功績なくしては、現在の看護もありえなかったことでしょう。