患者さんの死を看取るのも看護師の仕事です。
日一日と回復に向かっている患者のお世話は、看護師にとって非常に楽しくてやりがいがある仕事でしょう。
しかし、担当した患者が皆、元気になって社会復帰できるわけではありません。
懸命の治療のかいもなく亡くなってしまう人や、治療方法そのものが未だ開発されていない病気を抱えてしまう人もいるのです。
祖父母が一緒に暮らすのが当たり前だった昔は、肉親を通して「死」というものを体験できましたが、核家族化した現在は、葬式などのセレモニーの体験がせいぜいです。
もちろん、死についても看護学校などで勉強するでしょうが、初めて実際に体験した人の多くはショックを受けるようです。
しかし看護師という職業を選んだ以上、人の死は日常的なことです。
死を避けられない患者に対してどのように接したらいいのか、安らかで苦しみのない最期を迎えさせてあげるには、どんな看護がいいのかを考えましょう。
当然ですが、それには経験が必要です。
辛く、悲しい思いを幾度か経験し、自分の無力さをわかって初めて「死」を受け入れられるようになるのです。