職業としての看護婦の歴史を考えてみましょう。
看護婦といえば、すぐ頭に思い浮かぶイメージがあります。
一つは「白衣の天使」、いま一つは「ナイチンゲール」です。
私自身の気持ちを率直にいえば、「白衣の天使」という呼び方を、あまり好きになれません。
第一、私たちは、人間であって、決して汚れなき"天使"なんかじゃありません。
それに、こういう呼び方で持ち上げられるときって、いつも何やら要注意。
どこか、うさん臭いものを感じるのです。
看護婦が「白衣の天使」と呼ばれる理由は、単に制服が白く、病院のイメージが白だと
いうことにすぎなかったのかもしれません。
しかし、私はそれ以上に、看護のルーツにも関係があるのではないかと考えています。
つまり医療や看護が発生し、発展してきた歴史の歩みの中に、「白衣の天使」というイメージが生まれた理由の一つがひそんでいるように思います。
加えて日本の場合は、明治以降、国の政策として、このイメージを手軽で重宝なコマーシャルとして意識的に使われてきたのじゃないかとも思うのです。
もう一方の「ナイチンゲール」は、実際に活躍した人です。