イタリアに囲ハったルネッサンスの意味は、単なる文芸復興にとどまりません。
それは重苦しい中世に反逆する革新運動でもありました。
さらにそれは、豊かな可能性としての人間の復活であり、再生を目ざす運動でもありました。
ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロ、ティツィアーノ・・・。
みなさんもよくご存じの胸を打つイタリア・ルネッサンスの絵画や彫刻のかずかずを思い浮かべてください。
注文主の多くは教会や王侯貴族ですから、キリスト教に則ったものが多いのですが、古代ギリシャへの見直し、再発見も盛んです。
なかでも慈愛に満ちた優しく美しい聖母マリアや天使たち、ヴィーナス、女神たちの姿に、人々の願望と人間賛歌が読み取れます。
ここいらにも、献身的な看護師に「白衣の天使」のイメージをダブらせる素地の一端があるのかもしれません。
ルネッサンスの、"人間をありのままに正しく見ようとする目"は、人間や自然、事物を、より正しく理解し、表現する解剖学の研究や遠近法などの開発をも導きました。
レオナルドやミケランジェロも、解剖学に情熱を傾けた人たちです。
絵師であった画家や彫刻家が芸術家、建築家、さらに科学者へと飛躍しました。