イギリスの産業革命は、多くの失業者と低賃金労働者を生み出しました。
また、紡績工場や炭鉱など主要な工場では、賃金の安い少年や女性を日に=一時間も働かせていました。
ロンドンや大都市にスラム街が発生し、病気が多発したのも、おなじみの小説、シャーロック.ホームズが活躍したのも、このころです。
ナイチンゲールは、そんな時代に青春を迎えました。
多くの看護師さんは小学生のころから、「天使のような美しい心を持ったナイチンゲールという偉い看護師さんがいたんだ」という、一種のあこがれを心に抱いていました。
実際、学校の先生のお話や図書館の書架に並ぶ本でも、「クリミアの天使・ナイチンゲール」「弱者のための無私の奉仕と献身」......などといった"伝記"や"世界偉人伝"として、意識に残っていたものです。
幼い少女にとっては、それは至上の気高い、神聖なあこがれでした。
看護学生になってからは、ナイチンゲールについて勉強します。
たしかに彼女は、名門の娘でありながら、早くから社会問題に関心を持ち、慈善活動にも参加した行動的なナウい娘さんだったようです。
当時のイギリスは"繁栄"を誇る一方、都市にはスラム街が広がり、多数の貧しい人たちが窮乏と不衛生、病気にあえいで、ひしめいていました。
そんな人たちと接する中で、彼女は訓練された看護師の必要性を痛感したといいます。